タカヤマ建築事務所

アテになるようでアテにならない坪単価のからくり

2019.08.05

設計事務所,関西,ブログ

坪単価○○円

 

お客さん:「1階が駐車場、2階3階が住宅。コンクリート打放しの場合、坪単価でいうとどれくらいで建てることができますか?」

タカヤマ:「う~ん。仕様やご要望などにもよりますので、現時点で何とも言えませんが、参考としましては、直近のプロジェクトは坪○○万円かかりました・・・・。でもこれがそのままお客様のプロジェクトに当てはまるかどうかは何とも言いきれないこともあり・・・。」

 

坪単価とは、建築工事費を建物全体の坪数で割った単価で、鉄筋コンクリート造3階建てで坪○○万円といったような使われ方をして、建物の概算の工事費を認識したり、これから計画する自身の建物が想定しているコストに比べて高いのか安いのかを判断するための数字として使われることが多いかと思います。

この坪単価がすごく曖昧な数字で、坪いくらぐらいですか?という質問にいつも頭を悩ませ、はっきりせず、煮え切らない返答をごにょごにょとお伝えしてしまっている理由を書いてみたいと思います。

 

坪単価の概略は上記でご説明していますが計算式にすると下記のようになります。

建物の工事費 ÷ 建物の坪数 = 坪単価

 

坪単価○○円って実は基準がバラバラで高くもなり安くもなる数字なのです。

 

1. 建物の工事費の中に消費税は含む。含まない。

設計者サイドの認識としましては、坪単価計算の時の消費税は含まない税抜きの工事費で考えることが一般的ではないでしょうか。しかし、お客様サイドでは、消費税を含んだ工事費で認識されているケースが多い印象を持っています。では具体的に見ていきましょう。

例えば工事費(建物の総予算)3000万円、建物の坪数30坪の計画とします。

税抜きの場合

3000万円÷30坪=100万円/坪 [坪単価100万円]

となります。一方、税込みの場合は(消費税10%として)

3300万円÷30坪=110万円/坪 [坪単価110万円]

となり、消費税を含むのか含まないのかによって坪単価10万円の差が生まれています。

 

2. 建物の坪数(面積)はどの面積を使うか

建物の面積は容積対象床面積、延床面積、施工床面積があります。それぞれについて見てみましょう。

建物は工事費3000万円(ここでは税抜きで検討していきます)

1階:駐車場15㎡、住宅部分20㎡

2階:住宅部分35㎡、バルコニー9㎡

3階:住宅部分35㎡、バルコニー9㎡

屋上:塔屋4㎡、屋上31㎡

の建物を例に検討してみます。

 

1). 容積対象床面積での坪単価計算

建物の面積(坪数)は

1階20㎡+2階35㎡+3階35㎡+屋上4㎡=94㎡(28.43坪)

(1階駐車場は延面積1/5以下で容積対象床面積不算入、バルコニーは先端から2m以下で容積対象床面積不算入、屋上は屋根がないので容積対象床面積不算入)

となり、坪単価は

3000万円÷28.43坪=105.52万円/坪 [坪単価105.52万円]

 

2). 延床面積での坪単価計算

建物の面積(坪数)は

1階35㎡+2階35㎡+3階35㎡+屋上4㎡=109㎡(32.97坪)

(バルコニーは先端から2m以下で延床面積不算入、屋上は屋根がないので延床面積不算入)

となり、坪単価は

3000万円÷32.97坪=90.99万円/坪 [坪単価90.99万円]

 

3). 施工床面積での坪単価計算

建物の面積(坪数)は

1階35㎡+2階35㎡+9㎡+3階35㎡+9㎡+屋上4㎡+31㎡=158㎡(47.79坪)

となり、坪単価は

3000万円÷49.79坪=60.25万円/坪 [坪単価60.25万円]

 

上記のことから扱う面積が異なると坪単価は全く異なることが見えてきます。

 

3. 建物の総予算の中にはどこまで含まれるか。別途工事はどのように扱うのか。

別途工事の一例をリストアップしてみます。(必ずしも下記が別途として建物本体工事から除外されるという意味ではなく、一例としてお考えいただければと思います)

i. エアコンを量販店で購入する場合のエアコン機器と取り付け工事費

ii. 造り付け家具工事

iii. 外構工事や植栽工事

iv. 給水引込工事

これらを工事費に含むのか含まないのかによっても坪単価は数万円単位で異なってくることはイメージしていただけると思います。

東大阪屋上テラス

他社との比較に坪単価は使うことができるか。

 

結論から言いますと、私個人的にはNOだと考えています。

今までの説明からも自分のところで設計する建物においても、工事費に含むもの、含まないもの、面積の取り方の違いによっても坪単価は大きく異なります。そこに他社との比較となってくると、仮に同じ構造、同じ設備、同じ面積であっても、仕様の違いや設備機器などのグレード、プロジェクトに対する考え方の相違などから、坪単価の基準が異なることは明確です。

異なる基準で出てきている数字を並べたところで、比較のしようがありませんよね。

 

アテになるようでアテにならない坪単価

 

プロジェクトの初期の段階では、設計者サイドとしましてもプロジェクトの内容が見えていないことも多く、坪単価をお答えし難い状況ではあります。ましてや、お電話いただいて、坪単価いくらでできますか?というご質問に対するお答えが根拠の薄いお返事にしかなっていません。これは、せっかくご相談頂いたお客様にとっても、私たちにとってもメリットのないやり取りなのではないかと思いました。ですので、もう少し詳しくお話をお聞かせいただき、含むもの含まないものを決めて基準をはっきりさせ、ある程度共通認識を持ってからご提示させていただければなあと考えています。

 

 

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