建築家の目線で建築計画、家づくり、リフォーム等のコツをお伝えします。
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設計事務所の実務 [建築設計・監理]

設計事務所の実務 [建築設計・監理]

設計事務所ってどんな仕事をしているのか。実務について書いてみようと思います。

実際にお会いしてご要望などのお話をお聞きし、具体的に計画を始めましょうとなった時に真っ先にすることがあります。

行政調査

地図で敷地の位置を確認し、都市計画地図で、皆さんよくご存じの、用途地域、建ぺい率、容積率など敷地にかかる条件を拾い出していきます。最近ではインターネットで調べることができるようになり、大変便利になってきていますが、すべての情報を把握できるかというとそうではなく、下水や水道の埋設状況が分からなかったり、道路の状況が不明だったりしますので、結局は行政機関に出向き、台帳などで確認しなくてはなりません。ネットで事前情報をつかんで、行政機関に確認していくというイメージです。

設計事務所の実務

行政機関では上記の都市計画情報だけではなく、開発、文化財、条例など関連法令や事前協議先などを確認していきます。小規模住宅の場合はそれほど該当しないのですが、建築が大規模になっていくと、駐車・駐輪場、景観、ゴミ、緑化、バリアフリー、省エネ、消防などたくさんの項目について協議していかなくてはなりませんので、協議先がどれくらいあって、何を求められるのかをつかんでおかなくてはいけません。

 

現地調査

並行して現地を確認します。

 

現地では、行政で調べたことについて異なったことや、気になる事はないか、また敷地境界の確認、電柱や電線の状況、隣接する建物の状況、給水引込や排水桝、側溝の状況、工事車両の通行が問題なさそうかなど、実際の状況を観察、確認していきます。

 

このようにして、敷地にかかる法規制や実際の状況など、計画に関係しそうな与条件をピックアップするのが現地調査の目的です。

 

全ての与条件が揃いましたら、いよいよ具体的な検討です。

 

ボリュームチェック

現地調査で敷地にかかる法規制や現地の状況による条件が揃いましたら、敷地にどれくらいのボリュームの建物を建てることができるのかを割り出していきます。写真はとある住宅地でのボリュームです。

設計

この条件の中で、建て主からのご要望を重ね合わせながら、希望の建物が設計できるかどうか、問題点の有無などを探っていきます。

要望は、駐車場1台、LDK、ファミリークローク、個室(小さくてもOK)といったものです。図からは条例により建物規模が制限され、かなりカツカツになりそうなことが見えてきます。特に高度斜線の影響が大きく、うまく回避していかなくてはいけなさそうです。

そのようなことを踏まえ、プランニングしていきます。

*マンションや事業系の計画でも同じようにボリュームを確認し、事業として成立するかどうかといった検討をしていきます。

 

基本設計

敷地にかかる法規制、現況の状況、クライアントの要望が出そろい、ボリュームチェックが済みましたらいよいよ具体的な間取りに取り掛かります。使いやすく心地よい建物にするにはどのような間取りにするのが良いのか。建物と地域の関係、室内と屋外との関係、家族間の関係、現在と将来の使い方、要望とコストとの兼ね合いなどをイメージしながらプランニングしていきます。設計の腕の見せ所です。

 

基本設計では建物のコンセプト、間取りや構成、規模、仕様、構造、設備、建築費用など建物全体の方向性を決める非常に大切な作業です。基本設計のあとに実施設計と続いていくのですが、実施設計に進んでしまうと後戻りが難しくなる傾向にありますので、この段階で納得いくまでしっかり煮詰めておくことが大切です。自分たちの要望がきちんと反映されているのか、予算は収まりそうなのか、不安に感じる点は納得いくまでご相談ください。

住宅設計

基本設計が済みましたら、設計の内容が大まかに想定予算の中に入っているのかを判断するために概算見積もりを出します。(基本設計は詳細な図面がありません。そのために見積もりも概算となります。)概算見積もりがあがってくると基本設計で決めた内容でそのまま進めることができるのか、仕様の変更が必要なのか、建物の規模を縮小しないといけないのか、要望を満たすために工事費用をアップさせるのかといった判断をしていくのですが、先にも書きましたように実施設計に移ると後戻りが難しいですので、図面の内容と見積もり内容をしっかりと調整しなければなりません。

 

たくさんのご要望をプランに反映させるとどうしてもイメージしている建築費からオーバーする傾向にあります。そこで、必要なところとそうでないところを取捨選択していくわけですが、この作業が自分たちのライフスタイルを見つめなおす良いきっかけなのではないかと考えています。家族や利用者と話し合い、自分と向き合い、最終的に残ったものが自身のライフスタイルに必要なものであって、取捨選択する前よりもクリアなものとして見えてきます。

 

満足度の高い建築づくりとするために、じっくりと向き合ってください。

 

実施設計

概算見積もりがある程度想定内に収まれば、実施設計に入っていきます。

設計

実施設計は、プランを検討していく作業というよりは、基本設計図に基づき壁や床、屋根の構成、開口部の大きさや位置、断熱性能や耐火性能、構造との兼ね合い等を検討、決定していく作業になります。図面はどんどん詳しくなっていきます。設備に関しても給水、排水、電気、コンセント、スイッチ、ガス、換気、空調などの位置や天井、壁、床下などにどのように通していくのかといったことをデザインとの兼ね合いを調整しながら検討します。これらの図面は工事の見積もりの内訳明細の作成と工事の実施に必要ですので、細部に至るまですべてを把握できる十分な内容でないといけません。

 

特に矩計図、平面詳細図、開口部まわりの詳細図は様々な情報が盛り込まれると共に、見え方の良しあしが決まりますのでかなり神経を使って描いていきます。

 

実施設計図が完成すれば、見積もりです。

 

見積もり

設計事務所が見積もりを作成するのではなく、施工者に依頼しますので、正確には見積もりを査定するのが設計事務所の実務になってきます。大まかに書くと実施設計図の内容が適正な価格で見積もりに反映されていて、きちんとした工事をしてもらえるのかどうかというところを確認していきます。見積もりが高すぎる場合も問題ですが、安すぎる場合も注意深く内容を検討しなければなりません。

基本設計のあと概算見積もりも取っているんだし、そんなに大幅に変わることはないんじゃないの?となるのですが、なかなかそううまくいかないこともよくあります。基本設計では、詳細が決まっていなくぼんやりした状態です。ですので概算見積もりもそのぼんやりした部分を含んでいます。実施設計で詳細を検討していくにつれ、できる範囲の中で最大限良くしていきたいという気持ちが強くなっていきます。耐久性や断熱性、細かな納まり、ちょっとしたデザインや見せ方、コストのかけ方の配分、設備についても遠回りのルートを選択するほうが綺麗だなとか、構造も詳細を検討すると若干高くなる傾向もありますし、クライアントの皆様も、せっかくだからちょっと高いけれどこちらの機器を選択しようと、実施設計になってようやく見えてくるこれらの細かなぼんやり部分が積みあがっていきます。また、予期しないものとして、社会情勢による値上がりといったものもあります。それらは全てコストとして反映されてきます。

見積りがあがってくるとこういった内容を査定していきます。

 

申請

工事着工前に大きな仕事があります。関係各課への届出と確認申請書の提出です。建築物が条例、建築基準法、関連法規等に適合しているかチェックを受けます。確認済証がないと工事の着工ができません。

 

監理

設計事務所の実務として工事監理があります。図面の作成と同じくおおきなウェイトを占めます。工事が図面通り行われているか、建築基準法、消防法、その他関係法令を遵守しているか、断熱性能や耐火性能、各業種の施工について建物の品質が確保できているかどうかを確認していきます。もし施工状況に不具合や問題個所があれば是正してもらうことになります。

設計

タカヤマ建築事務所では、着工から上棟にかけては、地盤、基礎、軸組について工事の進捗具合に応じて現場に出向き確認していきます。そして上棟から完成までは、建て主にも同席してもらい、定例打合せという形で、週に1回のペースで現場で打合せをしていきます。

 

建て主の方にはできるかぎり現場に来ていただくことをお願いしています。といいますのは、工事に参加して頂き、現場の雰囲気を感じてもらうことで、建物に対する満足度や愛着が増すと考えるからです。仕上工事にかかり、建物の雰囲気が見えてくるまで、どの様な工事が進んでいるのかよくわからないことも多いかもしれませんが、少しづつカタチになっていく過程は楽しいものです。ですのでぜひ現場を見に来てください。

 

 

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タカヤマ建築事務所

タカヤマ建築事務所は関西[大阪市東成区]を拠点に活動している建築設計事務所で、シンプルでありながら温かみある空間をテーマに、使い勝手が良く、その時々のスタイルに応じフレキシブルに変化対応しながら、何年も何十年も利用者に寄り添える建築を提案させていただいています

狭小住宅、中庭型住宅、障害者福祉ホームなどの「住まい」・店舗、事務所、工場、倉庫などの「働く場」・リフォーム リノベーションなどの「再生」を柱に建築空間全般の設計・監理業務を行っています

設計エリアは近畿圏だけでなく、日本全国お伺いさせていただきます。

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