スキップフロアの住宅設計・デザイン [建築設計・監理]
スキップフロアの住宅設計・デザイン
スキップフロアとは、半階ずらせた床を設け、上下の空間を分割または結合する形式のことで、半階ずつ床の高さがずれていく建物の立体構成です。
メリットは
1.空間が連続的につながるので抜けができ、拡がりを感じることのできる空間となる
2.上下方向の変化により、空間に立体感が生まれる
3.傾斜地や敷地に高低差があるときに空間を有効活用できる
4.狭小地で空間を無駄なく使いこなせる
デメリットは
1.上下方向が連続的につながるので、空調や換気など、設備効率が悪くなる傾向にある
2.音が筒抜けになりやすい
3.階段の位置やプランによってはスペースが狭くなったり、使いづらくなったりする
4.建築工事費が高くなる傾向にある
などといったことがあげられます
計画中の西宮のRC打ち放し小規模住宅を例にご紹介
計画地は南側に道路が接道している約13坪の敷地です。高度地区内にあるため、北側から高度斜線がかかってきます。ここで3階建てのボリュームを入れると、図のようになります。
高度斜線により北側のボリュームが削られてしまっています。空間も単調で、将来のライフスタイルの変化にも追随できそうにもない。何よりも窮屈。
そんなことを言っても、小さな敷地だし、法的条件もあるので、仕方ないよね。と言うところを何とか頑張ってみるのが我々設計事務所の役目。・・・(多分)
下記のようなスキップフロア案を提案させていただきました。
高度斜線で削られたボリュームを半地下を掘ることによって補っています。1層目が半分地下に潜ったことにより、中間階を設定しスキップフロア形式としました。
3階の低い天井部分は床が半階下がったことにより高さが加算されています。
2階LDKはフロアに段差ができたことにより、空間に変化と奥行きが生まれています。上下方向、各室がつながり、抜けを感じ、限られたスペースであるもののそれ以上の体感を得ることができるようになっています。
スペースは一体的ではあるものの、スキップの効果によって視覚化されないゾーンができてエリアが細分化されています。それらはライフスタイルの変化やシチュエーションにより、各人が思い思いの使い方を設定できるようになります。
厳しい法規がかかる狭小宅地で、スキップフロアによってクライントのご要望にお応えできた計画となりました。
7月末日に確認申請も下り、ようやく工事着工です。
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スキップフロアの段差を利用してリビングの天井高を確保 House-M
鉄とべニアで構成した3階建ての住宅です。
ダイニングキッチンをリビングより1段高くし、食事をするスペースとくつろぐスペースを間仕切りを用いずに分離させました。
ワンルームでありながら、シーンによって場所を使い分けることができます。
また、スキップフロアとしたことで、リビングの天井が高くなるとともに、便所の上部がロフトとして利用できるようになっています。
段差による空間の変化は楽しそうな雰囲気と、のびやかでゆったりとした室内を演出してくれています。
狭小住宅でありながらスキップフロアにより開放的に skip house
敷地の前の公園のケヤキの木を借景としてすべての場所から眺められるようにスキップフロアとしました。
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ご主人の趣味のお酒、奥様の大好きな本、アンティークの家具に囲まれ、建て主の想いが凝縮した住宅となりました。
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タカヤマ建築事務所は関西[大阪市東成区]を拠点に活動している建築設計事務所で、シンプルでありながら温かみある空間をテーマに、使い勝手が良く、その時々のスタイルに応じフレキシブルに変化対応しながら、何年も何十年も利用者に寄り添える建築を提案させていただいています
狭小住宅、中庭型住宅、障害者福祉ホームなどの「住まい」・店舗、事務所、工場、倉庫などの「働く場」・リフォーム リノベーションなどの「再生」を柱に建築空間全般の設計・監理業務を行っています
設計エリアは近畿圏だけでなく、日本全国お伺いさせていただきます。