家の中心、家族の中心にある中庭

外部からのプライバシーを高める為、南向きにもかかわらずファサードに窓を無くすこととしました。南北に長い中庭を設け、そこに向けて大きく開放することで、開放的で明るい住宅としました。中庭に差し込む光は時間の経過とともに直射光や間接光など変化しながら移ろっていきます。中庭に差し込んだ光を間接的に取り込むことで、1日を通して温度差や明暗の差が少なく、安定した光によって室内が満たされることになります。

中庭によって建物が2つに分節され、建物と建物の間からアプローチします。プランは中庭を中心に構成しています。1階は親世帯で、庭の周りをＬＤＫ、収納、水回り、和室2室と連なっていきます。普段寝室である和室は、建具を引き込むことにより大人数の来客時に大きな部屋として利用します。1階フロアレベルと中庭の床レベルを近づけるとともに、各室から中庭へアクセスできるようにすることで、室内と庭との距離を近づけ、日常的に利用しやすくしています。
2階は子世帯で、同じく庭の周りをＬＤＫ、水回り、個室3室と連なる。回遊しながら庭を見ることができます。

上下で親世帯、子世帯と生活を分けていますが、この中庭があることにより上下階の家族の気配を感じることができ、適度な世帯間の距離を保ちます。孫たちとの遊び、一同でのバーベキューなど中庭を利用することで、親世帯と子世帯が結びつきます。
中庭は、世帯間の距離を程よく近づけたり離したりする役割を果たし、ソフト面、ハード面、さらには建物、家族においての中心に位置しています。

中庭を中心に構成した二世帯住宅。